たぶんだけど。ゴムしてなかったら、俺の指、ふにゃんふにゃんにふやけてたと思う

見栄剥きを知らない風見裕也と、見栄剥きを知らない
メタモルフォーゼ
の未来かもしれない。指用ゴムと指フェラの話


 

いつものように、キスをして、服を脱がせ合った。
一回目は普通にして。二回目もどうですかねってところで降谷さんが、おっしゃった。

「ゴム、今日は、ちゃんとできると思うから」

大抵の場合、俺は、自分で避妊具を装着するのだけれど、数か月前に一度、降谷さんに着けてもらったことがあった。
その少し前に見たAVに女性が口でゴムをつけるシーンがあったから、あれに触発されたのかもしれない。事実関係を確かめたことはないけれど、おそらく降谷さんは俺の動画視聴履歴をチェックしている。
隠れて練習を重ねたのだろう。その日、降谷さんは、器用に口だけを使って俺のものにゴムをかぶせた。何を男性器に見立てて練習したのか結局聞かずじまいだったが、おそらく毛の扱いについてはよくわからなかったのだと思う。
降谷さんは、俺とおつきあいするまで、そちら関係はからっきしだったらしいから。
だから、その事故が起きたことは仕方がなかった。少々のトリミングはしていたけれど、俺の毛は、結構な量と長さがあるし。

どんなに交通ルールに気をつけていたって、巻きこまれ事故に遭うことはある。

痛がる俺と慌てる降谷さん。
その後、降谷さんの性器を使って、正しいコンドームの被せ方を指導してあげた(手を使って、ではあるが)。
降谷さんのすらっとした足の間に、鏡を置いて、しつこいくらい丁寧にコツを教えてあげたから、多分、今日は毛を巻き込まないと思う。

とはいえ。
俺の体も、結構正直なので。降谷さんからのご提案を受けたとたん、めずらしく、しぼんでしまった。

「あー……ちょっと、酒を飲みすぎたかもしれないですね」

などと、ごまかそうとしたが、降谷さんが泣き出しそうな顔で

「この前……そんなに痛かったか?」

と聞いてくるので、話題をすり替えることにした。

「降谷さん、指フェラって知ってます?」
「……まあ、なんとなく」

いきなりの話題転換。きょとんとした、降谷さんの顔。

「俺、いつも、指用のゴムをしてから、降谷さんのナカさわるじゃないですか?」
「うん……」
「だから、俺の指に、ゴム……つけてくれませんか?」
「え…? ああ、うん」

俺は、降谷さんに、指用のゴムを渡した。

「それ、使い方はコンドームとほとんど一緒なんで。まあ、液だめはないですけど」
「……うん」

降谷さんが、慎重に包装を切り指用のゴムを取り出した。

「口で、できます?」

手の甲を上にして、右手を降谷さんの眼前に差し出せば。

「……たぶん、できる」

降谷さんが、左手で俺の手首を掴んだ。

「中指、がいいですね」
「中指?」
「まあ、中指が一番、長いんで……」

降谷さんの目の奥が、きらりと揺れた。
中指の先端にゴムが添えられる。
そこに降谷さんがキスをする。それから、唇で押すようにしながら、ゴムの巻きをほどいていった。

「上手ですね」

左手で、頭をなでてやる。上目遣いが最高にかわいい。降谷さんの右手が俺の太ももをさする。

「すごい、根元までちゃんと、装着できてる」

手首に添えられた、降谷さんの左手を払い、中指でぐっと舌の真ん中あたりを押せば。んっと、甘い声がこぼれる。俺は、中指を引き抜き、降谷さんを仰向けに寝かせた。

「降谷さん、手……耳の横。そ、軽く万歳して」

そして、降参のポーズを取らせる。俺だけが知っている、降谷さんの隠された被支配欲求。

「そこからね。手、動かしちゃだめですよ」

降谷さんが、こくんとうなずいた。
形がよくてかわいらしい降谷さんの口を使って、人差し指と薬指にもゴムをつけていく。
右手の人差し指・中指・薬指。ゴムを装着した三本の指。それを、ひとまとめにして降谷さんの口に挿しこめば。降谷さんが一生懸命に吸い上げようとする。手のひらを上に返して、口蓋を優しくなでる。それからずるっと半分ほど指を引き抜いで、指のつけ根のあたりまで無理やりつっこめば、降谷さんの口の端から透明なよだれがこぼれ落ちる。
舌を使って、降谷さんの口の中を、随分とかわいがってきたけれど、こんな風に指を使って……というのは初めてだから、新鮮な喜びがある。降谷さんに限らず、人間の脳は、新しいものが大好きだ。まして、好奇心旺盛な降谷さんである。
一回目のセックスの余韻を残した体をよじらせながら、気持ちいいを表現する降谷さんは、めちゃくちゃにかわいい。触っていないのに、降谷さんのチンコはビンビンになっていて、先っぽがテロテロになっていた。
そういうのを見たら、やっぱりたまらない気持ちになって、俺のチンコも無事に硬度を取り戻した。

もちろん、ハメたまんま、指を舐めさせることだってできるわけだけれど。目をぎゅっとつむりながら、俺の指を舐めてる降谷さんを、もう少し堪能したかった。指先で、口の中をゴリゴリしたり、舌を挟んでみたり、歯列をなぞってみたり……いろんなバリエーションの愛撫を施しながら、降谷さんの様子を観察した。
たまに、空いた方の左手で、乳首をつまんだりすると、耳の横って決めてたはずの手が、それを押しのけようと伸びてくる。

「降谷さん、手……そこじゃないでしょ?」

と、耳元で、わざと吐息まじりに囁いてみれば、降谷さんは、俺の指をしゃぶったまんま、こくこくとうなずいた。そうして、がんばって、定位置に手を戻すのだけれど。俺の左手を握りたがったり、自分のチンコを触ろうとしたり、落ち着かない。
それで(ああ、耳元で囁いてほしいだけだな)ってことに気がついて、そこから先は、耳元で少々卑猥な言葉をささやきながら、指で口の中をじゅぼじゅぼに犯してあげた。
ジュウって、降谷さんが俺の指を吸い上げる。もしかしたら、こっそり、バキュームフェラの練習をしていたのかもしれない。そういう降谷さんが、かわいくてしょうがなくて、耳にキスをする。

ちょっとだけ調子に乗って

「降谷さん…指、舐めるだけでしたら、公然わいせつの罪には問われないでしょうし。だから、今度、外で、やってみますか? 指フェラ」

なんて、言ったら、降谷さんの体がビクッて跳ねた。あわてて、降谷さんの下腹部を確認する。まあ、さすがに精液は出てなかったけれど。透明の粘液でおへその辺が、結構濡れてて。俺は、ハメたまんま、指フェラさせて、耳元でささやくのにちょうどいい体位について思索を巡らせた。

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