応援馬券

【内容】
つき合っていない風降です。
多分両片想いです。

風見の一人称が、ちょこちょこ変わります

競馬場で遊んでるふりを装いながら、ターゲットを確保しちゃうぞ大作戦にいそしむ二人です。
実際のこーあんは、こんなことしてないと思う。めっちゃ妄想!

そして、仕事中に、びっみょーにいちゃつく二人。
だが、手をつながなければ、キスもしない!

しかし、この日の夜、二人はめちゃくちゃセックスするんじゃないかなってお話です。

 

【競馬についての補足説明】
メインレース:その日の一番格が高いレース。12レースあるうちの11レース目がメインになります。
トリガミ:馬券を当てても、買い方の組み合わせが悪くて赤字になる様
単勝:一等になる馬だけを当てる
応援馬券:勝ちとか負けとか関係なく、好きな馬だからかけちゃう!! って感じの馬券。理屈なんてない。
回収率:かけたお金に対して、配当がいくら戻ってきたかという意味。
コーチ屋:「このレースの裏情報知ってるよ」とか声をかけて金をせしめる詐欺師。近年は、あんまりいないらしいけど、ネットなどで同様の詐欺があるから注意が必要らしい。

 


 

日曜日の競馬場。
五月晴れに、さわやかな風。

降谷零は部下である風見裕也と、競馬新聞をにらめっこしていた。

もちろん、レジャーとして競馬場に来ているわけではなくて。
仕事のためにここにいる。
二人は、場に溶け込むために、新聞に丸をつけ。馬券を適当に買い、売店の軽食を食べ。
休日に競馬に興ずる、若者二人組のふりをした。

風見は、この半年の間。何度か、この競馬場を訪れていた。
監視対象が、この競馬場で何やら怪しい動きをしているという情報があったからだ。
その男は、五十代くらいの、中肉中背。ぱっと見は、どこにでもいるような普通のおじさんだった。

競馬場に来るたび、風見はその男とタイミングを合わせ、隣りの券売機で馬券を買った。
わずかな隙を見て、男がどんな馬券を買ったかを確認する。
そして、馬券を買い終えるとすぐさま、競馬新聞を開き、そこに、ターゲットの買った馬券の内容を控える。

男の行動パターンはいつも同じだった。

男は、馬券を買うが、レースを見なかったし、結果の確認もしなかった。
結果の確認をしていないのだから、当然だけれども、どれだけ高額な当たり馬券を手にした時も、それを払い戻すことをしない。

男はメインレースが始まり、人々が観客席やモニター前で、レースに熱中し始めると。
人気のない通路に移動し。
スマートフォンで誰かにメッセージを送ってから、いつも同じ男に声をかけ、馬券の束を渡していた。

その様子から、それらの馬券が、なんらかの暗号になっていることは確かだった。

数日前、公安は、待ち合わせ先にいた男の身柄を確保していた。

その男は、とある過激派グループの末端構成員のひとりで。
軽犯罪で前科を重ねており、受刑歴もる。
ここ数年も、怪しい動きがみられたが、あえて泳がせていた。
その男の住処は、とうの昔に割れていたし交友関係も把握できていた。
もっと言えば、違法な薬の販売を行っていることもつかんでいたし、逮捕しようと思えばいつでもできる程度の証拠は集めてあった。

ターゲットらが所属する過激派グループは、長いこと公安の監視下にあった。
そして、その活動はここ数年、加速度的に拡大していた。
グループの背後には某国の影が見え隠れし、武器・覚せい剤・偽装通貨などが、そのルートから流入しているという情報があった。
このままでは、大規模なテロを画策する可能性を否定できない。
かといって、下手に刺激をすれば、何をするかわからない。

そこで、末端をしょっ引いて、少しずつその内情を探りましょうということで、本作戦が計画された。

競馬場の男は、過激派グループの指示を末端に伝える連絡係である可能性が高く。
その線をたどっていけば、ほんの1mm程度かもしれないがグループの中枢に近づける。
地味ではあるが、早期にリスクを摘み取るためには、小さな仕事の積み重ねが大事なのだ。

今回、降谷零と風見裕也が、この作戦に携わっているのは。
グループの末端構成員が街で売りさばいていたクスリの成分が、黒の組織が密造しているものと酷似していたことによる。
つまり、この過激化グループの活性化に、黒の組織の関与が疑われたことから、この作戦に関わることになったのだ。

今日は、この長きにわたる地道な作戦の最終仕上げが予定されており。
そういう事情で、二人は競馬場を訪れたのだ。

降谷は、風見が準備してくれた、ちょっとやんちゃっぽい服に身を包み、スタンド席で競馬新聞を眺めていた。

「焼きそば買ってきました」

そこへ、ちょっとばかり、いかつい服を着て少しだけ色の入った眼鏡をかけた風見が近づいてくる。
風見は、降谷に焼きそばの入ったビニール袋をさし出した。

二人の服装が、なぜ、このようなオラついたものになったかというと、事前調査で風見が着ていた服が、純朴青年風であったことによる。
念には念を入れて、少しばかりオラついた格好をすることになったのだ。

高身長の、オラついたファッションの男の二人組。

二人の席の近くに座るものはおらず、おかげで、ゆったり過ごすことができた。

「ありがと。……君の持ってる唐揚げもうまそうだな」
「食べます?」

風見が、くし刺しになった唐揚げ棒を、さし出す。
降谷は、それを手で受け取らず、がぶりと唐揚げにかじりついた。
そして、器用に口だけを使って、唐揚げを一つ、くしから抜き取った。

「今日は、少し、お行儀が悪いんですね」

風見が苦笑し、降谷の隣に座る。
降谷が、唐揚げをもごもごほおばる。

一つ欠けた唐揚げ棒を、風見が食べ始めると、ようやく唐揚げを飲み込んだ降谷が、先ほどのつぶやきに答えた。

「上の有料指定席ならともかく、この辺の、無料席なら、こういうふるまいをした方が目立たない」
「まあ……そうですかね」
「それより、君も、焼きそば食うか?」

降谷がたずねると、風見は「ひとくちだけ」と答える。
とはいえ、箸は一膳しかない。
箸を借りようと右手を伸ばそうとすると、上司は笑顔で言った

「ほら、口開けろ」

上司の言葉だから、従ってしまったのか。
その笑顔に負けたのか。
自分でも判別がつかなかったが、風見は言われたとおりに口を開け、降谷の箸を受け入れた。

「うまいか?」

降谷が、にやにやしながらたずねる。
風見は、麺をほおばりながら、コクコクとうなずく。

今日の降谷はとても上機嫌である。

競馬は、警察学校時代の仲間と何度かやったきりとのことであったが。
何事も上手にこなしてしまうし、こなしてしまいたいこの男は。
今日のような、適当に馬券を買って、適当に一喜一憂したふりをすればいいこの場面でも、むだに、その能力を発揮し。
6レースが終了した時点で、4レースを的中させ、回収率は300%を超えた。つまりは、とても勝っていた。

一方の風見は、2レース的中があったものの、的中したレースのうちのひとつはトリガミだったりして。
結構な勢いで、負けていた。

「で、首尾の方は?」

降谷の問いかけに、風見が答える。

「ええ、順調です。配置の方も、確認してきましたが、万全に整っています」
「競馬の方は?」
「……それ、聞きます? お察しの通り負けてますよ。まあ、各レース数百円ずつしかかけてないから、負けてるって言っても大した額じゃないですけど……」

風見がそう言うと、降谷は、競馬予想に関する豆知識を披露し始めた。
風見はいちいち感心しながら、それを聞き、もぐもぐと唐揚げをほおばった。
楽しそうにしゃべる上司の焼きそばは、なかなか減らない。

「だから、君の場合ワイドで買うのがいいかもしれないな」

そうアドバイスをしてくれた上司に、唐揚げを食べ終えた風見は言った。

「そうなんですけど。メインレースだけは、単勝買うって決めてあるんですよ」

降谷が、目を丸くして、興味深そうにたずねる。

「なんで、また?」
「応援馬券……てやつですか? 気になる馬がいて、応援してるんですよ。そこに、どかっと、賭けてみようかなと」
「そうか。応援馬券か」
「ええ。その馬、前のレースの結果、散々だったんで人気はないんですけど。配当とか、勝ち負けは置いておいて。名前がすごく気に入ってて応援してるから、そこに賭けたいなと」
「そっか……君、この半年、ちょいちょい競馬通ってたんだもんな」
「ええ。そうすると、やっぱり、気になる馬が出てきてしまって……。あ、そろそろ、次のレースの馬券買いに行かないとだ」
「うん。行ってこい」

風見は、席を立ち、券売機に向かった。
監視対象の男の行動パターンは、だいたい決まっていた。
それは、男の慢心なのかもしれないし、なんらかの意味を帯びた行動なのかもしれなかった。
いずれにせよ、最後まで気を抜くことはできない。

仕事は滞りなく進んだし。
競馬も9レースに落馬があったが、大きな事故にはならず、予定通りのスケジュールで進行していた。

10レース開始15分前。
風見は、カップ入りのジェラートを2つ持って、降谷の前にやってきた。

「どっち、食べます?」
「ん? 抹茶とチョコ?」
「緑の方ピスタチオ」
「んー……お前、チョコがいいだろ?」
「いや……俺は、どっちも食べたことがあるんで」
「じゃあ、チョコもらう」

チョコのカップを降谷に差し出しながら、風見は椅子に腰を下ろした。
席に座ると風見はスプーンで、一口分のジェラートをすくい、降谷の顔の前にさし出した。

「ピスタチオ、ひとくち」

降谷は、少しばかり、きょとんとしてから、それを口に含んだ。
ピスタチオ味のアイスは、ピスタチオの香りが豊かで、とてもおいしかった。
今度は、降谷が風見にたずねる。

「君も、チョコ、食うか?」
「はい。ひとくちください」

風見は口を半開きにしながら、顔を降谷の方に寄せた。
キスをすんじゃないか、というような、風見のモーションに、ちょっと面食らった降谷だが。
そんなことは、みじんも感じさせない態度で、チョコレートのジェラートを風見の口の中に運んだ。

「あー、やっぱうま。ありがとうございます」
「うん」

いい年をした男二人が、アイスを食べさせっこする。
普通だったら目立ってしまう行動だが。
メインレース一つ手前の10レースの投票締め切りまであとわずか。
注目馬が何頭か出走するこのレースを楽しみにしている競馬ファンは多かった。
だから、周囲の客は、予想を立てるのに必死で、二人の妙な距離感を気にしている場合ではなかった。

「さて、そろそろ、自分もゲートインの準備をしなければ」

ピスタチオのジェラートを食べ終えた風見は、ごみをビニール袋に入れ、自分の財布を降谷に差し出した。
降谷は、戸惑う様子も見せずにそれを受け取った。

「これ、預かってください。俺のメインレースの馬券、外のポケットに入れてあります」
「さっき、言ってたやつか?」
「ええ」
「何を買ったんだ?」
「それは、レース終わってから見てください」
「なんで?」
「いや……なんか。ちょっと恥ずかしいんで。我ながら、ロマンチストだなって……あ、もし当たってたら、払い戻しも頼みます。俺、多分、そのまんまカイシャ行くことになると思うんで。……応援馬券だから、お手を煩わせることもないと思いますが」

風見は、そう言いながら、はずれ馬券の束をゴミ袋に入れ、自分が使用していた競馬新聞を小脇に抱えた。
降谷は、あわてて、ジェラートをかきこみ、そのごみを風見におしつける。

「なあ」
「なんでしょう」
「僕は、君と違って勝ちが見込めない賭けはしないんだ」
「はあ……でも、今日は、3レースくらい外してましたよね」
「でも、勝てる見込みはあったろ? 5着以内には入ってたんだから……」
「そうでしたね」
「……まあ、今はそういう話をしたいわけじゃなくて」

降谷は、少しもったいぶりながら言った。

「……僕はお前に賭けてるから、しっかり走ってこいよって、そういう話だ」

競馬場のモニターには、馬券の投票締め切りまであと5分の表示が出ていた。

「それは……気合が入るお話ですね」

風見は、にっとほほ笑んだ。だが、眼光はおそろしく鋭かった。

「悪い顔してるな」
「ええ、これから悪いことしてきますから」
「じゃあ、またカイシャで会おう。チンピラさん」
「ええ。あなたが、安心してメインレースを見届けられるよう、ぬかりなくやってきます」

風見は、タバコを吸うふりなんかをしながら。
ターゲットのことを監視した。
10レースが終わり、券売機前は11レースの馬券を買う人たちで、ごった返した。
人ごみに紛れて、少しずつ、ターゲットとの距離をつめた。
やがて、馬券の販売が終わり、人が少しずつはけていく。
ターゲットが、スマホを取り出し、メッセージを送った。
そして、いつものように待ち合わせ場所に歩いていく。

だが、待ち合わせの場所に、いつもの男はいない。

そこ居るのは、待ち合わせ相手と似た背格好をした、公安部の職員だ。
ターゲットが固まる。
と、そこに、風見が全力疾走で走ってきて、その男の腕をつかんだ。

「おいッ!!!お前の言うとおりに馬券買ったけど、ちっとも当たらねえじゃねえか!!!」

風見は、コーチ屋にいちゃもんをつけるチンピラのふりをして、その男に詰め寄った。
そこに、警備員たちが駆け寄る。
警備員……と、いうか。それは、全員、警備員の服を着た公安部の職員なのだが。
ターゲットと共に、風見も警備員に拘束され、二人仲良く警備員室に連れていかれた。

わずかながら、通行人がいたが、目撃者たちは、それが公安の仕事の一端だとは思わなかっただろう。
背の高いチンピラとおじさんがトラブルになり。それを警備員が止めに入ったとしか、思わなかったに違いない。

それに、みな11レースの結末に気を取られていた。

風見が、ターゲットを追っていたのと同時刻。
降谷は、風見の財布を握りしめながら、メインレースが始まるのを待っていた。
新聞に載っている出走表を見て。
まさかこの馬じゃないよなとか思いながら、文法的にはでたらめな英語の馬名に、赤ペンで丸を付ける。
風見が、この馬にかけていたとして。
その上で、財布ごと預けたのだとしたら……

(本人の申告通り相当なロマンチストだな)

そんなことを思い、そろそろ作戦が動き出す頃だなと降谷は思った。

ファンファーレが鳴り響き、馬たちが走り出すのを見守る。
観客の怒号が飛び交う。

レースは少し早めのペースで進んでいった。
残り800mのところで集団の中団にいた5番が、スパートをかける。

(まだ早くないか?)

などと思いながら、少しばかり祈るような気持ちでレースの展開を見守る。
しかし、その馬は、ぐんぐんと順位を上げていき、あっという間に先頭に躍り出ると。
失速することなく、最後まで先頭を走り切り。一着を勝ち取った。
歓声とヤジが飛び交い、実況アナウンサーの声が響き渡った

「先頭は5番ブルーアイズレイ、重賞初勝利です鞍上は……」

降谷は、小声で、その馬の名前をつぶやいた。

「ブルー、アイズ、レイ」

そして、風見の財布の外ポケットから、彼の買った馬券を取り出した。

―― 5・ブルーアイズレイの単勝に、3万円。

今までのレース。数百円ずつちまちまかけていたくせに。
潔く3万円。

人々が、場内を移動していく。
メインレースを当てた人は上機嫌に。メインレースを外した人たちは、ラストの12レースで取り戻してやると躍起になっていた。
五月晴れの競馬場をさわやかな風が通り抜ける。
そして、11レースの配当が出た時、降谷は、思わず顔をしかめた。

単勝 3040円

風見が賭けたのは3万だから。3040円に300をかけて

「91万2000円」

それが、風見が預けた馬券の配当金だった。
配当が100万を超える場合、窓口で手続きを踏まなければならない。
風見があと3000円多くかけていたら、本日の払い戻しは、あきらめていただろう。
仕事の最中に、身分証明書の提示や、税金に関する手続きをおこなうような余裕はない。

それにしたって。

当たり馬券を眺めながら、もう一度、馬の名前をつぶやく。

「ブルーアイズレイ……ねえ」

降谷は風見の言葉を思い出していた。

『配当とか、勝ち負けは横に置いておいて。名前がすごく気に入ってて応援してるから、そこに賭けたいなと』

携帯が鳴った。
風見からの、報告の電話だった。

『お疲れさまです。こちらは滞りなく終わりました。今、警備室から裏口を通って、ターゲットと一緒にカイシャにもどります』
「ごくろう」
『あなたは、直帰でいいそうです』
「わかった」
『それから、メインレースですが。勝っちゃいましたね。あの子』
「君な。応援とはいえ、よく3万もかけたな。あんなでたらめなレースする馬に」
『えー。でも血統は意外といいし。ポテンシャルも高いんですよ。まあ、応援馬券に勝ち負けは関係ないですからね。賭けたいから賭けただけです。本当は、全財産賭けたかったんですけど。それだと、配当が100万越えてご迷惑をかけかねないので、3万に抑えておいたんですよ』
「だからって、財布ごと、全財産を僕に預けていくなよ」
『あはは。そうなんですよね。あと、申し訳ないんですが……財布、預かっててもらっていいですか? 8時にはカイシャ出れるようにするんで。その配当金で、高い肉でも寿司でも食べに行きましょう。こういうお金は、その日のうちに使い切っちゃうのが一番ですから』
「……二人で90万? 使い切れるか、一晩で?」
『使い切りましょう! 飯の後に、高級クラブにでも行ったら、あっという間なんじゃないですか? ……まあ、おすすめの店あったら、押さえておいてくださいよ。自分は、高級店とか、あんまり詳しくないんで、あなたに一任します』
「……じゃあ、どこかの夜景がきれいなスイートルームでも抑えとくよ。そこで、ルームサービスを取って、たらふく食べよう。さっきみたいに食べさせっこしてさ」
『え……?』
「不満か? 僕に任せるんだろ?」
『いえ、不満というわけではないんですが……』
「なら、いいな! ……それから、僕、乗馬も結構うまいんだ。まあ、だから……今晩は覚悟しておけ」

降谷は、勢いよく、通話をぶった切った。
電話が切れる瞬間、「ちょっとまってください!」という声が聴こえた気がしたが。
そんなのはどうでもよかった。

降谷は払い戻しを待つ長蛇の列に並び。
風見の馬券と、自分の馬券をお金に引き換えた。
でたらめな馬と、思いつつも、血統の良さを考慮して、降谷もブルーアイズレイを抑えで買っており、風見ほどではないがそれなりの配当を手にしたのだった。

競馬場を離れ愛車に乗りこむと、スマホでよさそうなホテルを探して、一泊50万の部屋を予約した。
それから、いつも使っているペットホテルに電話をし、家まで車を走らせた。

部屋につくと、愛犬のハロが嬉しそうに、降谷を迎え入れた
降谷は、愛犬を抱き上げると。

「なあ、ハロ。僕、あいつに賭けて見ようと思うんだ。まあ……応援馬券なんだけど」

ひとりごとを言いながら。
その小さな頭をなでた。

※たぶん、この夜、めちゃくちゃセックスする

 

【あとがきなど】

ツイッターで、こんなことをつぶやいたんです

「人を信じるって賭けだと思うのね
自分を賭して相手に自分をゆだねるっていう

ふるやさんはハイリスクな賭けでも、必ず勝ちに持ち込むタイプの男だから、自信たっぷりにかざみに賭けるし

かざみさんは応援馬券買っちゃうタイプだと思うから、勝ち負け関係なく純粋に自分をさし出す」

夜中につぶやいた気がする。夜中のテンションきもちわるい!
まあ、それで。
これを、SSにしたら、どうなるんだろうと思って書いてみたのがこのお話です。

私は、風見さんに夢を見てしまうので。
自分の全部をあなたに賭けてしまいたいっていう、とんでもねえ告白をですね。
言葉ではなく、行動でさせたくなるわけですね。

それから、このお話。
降谷さんが、騎乗位予告をしていますけど。
この降谷さんは、乗馬は上手ですけど、騎乗位はしたことがないと思いますね。
でも、まあ。何とかこなすんですよ。降谷さんですからね。

それと。私は、強気な降谷さんが大好きですけど。
仕事では、風見さんに対していくらでも傲慢になれるくせに、恋愛になると急に、ひよっちゃう降谷さんが好物なので。
最後の風見への賭けは、応援馬券とさせていただきました。

結果を求めず、純粋な気持ちで、風見に自分をさし出す降谷さんは、絶対にかわいいと思います!!

 

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